経済改革としての明治維新
日本経済の先行きについては、悲観論が優勢のように思えます。
地方経済の疲弊、少子高齢化などの問題もさることながら、
ちょっと前まで就職先がないと騒いでいたと思ったら、
今度は人手不足で大騒ぎと明るい材料がないように思えます。
日本経済は本当に再生するのは不可能なのか?
そんなことを考えていたら
「日本には経済危機を乗り越える力がある」
と力強く宣言する本書「経済改革としての明治維新 (武田知弘)」
に出会いましたので早速読んでみました。
本書は、明治維新により日本だけが欧米列強に対抗しうる軍事力を整えられた理由を、
「経済改革による超高度成長」によるものという自説を軸に展開するものです。
廃藩置県や農地解放が経済的にもいかにすごいものだったか、
伊藤博文、大隈重信、渋沢栄一、松方正義といった偉人の業績を
経済・金融という側面から辿るというのは、
なるほど、明治維新の凄さというものを改めて認識させるものです。
一方筆者はアベノミクスに批判的な目を向けており、
「アベノミクスと明治維新を比べた場合、最大の相違点は「民力」だといえる」
(p234)と切って捨てます。
確かに、支配階級だった武士階級が土地所有権を無償で解放した時代と、
富めるものがますます富むという構図の現代では前提が違い過ぎるのも事実です。
本書を通読した上で日本経済の未来を改めて考えると
① 江戸末期に比べれば遥かに恵まれている現在、
日本経済の復活のチャンスは多分にあると言える
② 一方、権力の世襲化が進んでいる今の時代に
明治期のようなリーダーシップを持った人間が現れるか?
すなわち、二世とか三世議員ばかりの中で、
本当に卓越した才能がある人が現れてもその人がリーダーになれるのか?
③ 誰もが頑張れば豊かになれる時代になる前提として、明治期のような
「豊かな人が富を差し出す」なんてことが現代で起こるのか?
といったところでしょうね。
私は単純に人口が減るから日本経済はダメだ!
と論じるような悲観論には反対の立場ではありますが、
日本経済復活に向けての条件が②と③であるならば、
ハードルは相当高い気がします。
とは言え、リーダー次第で国も大きく変わると思いますので、
新らしいタイプのリーダー登場に期待するしかないのかな?
なんてことを考えました。
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